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*ブン太短編「パラリズィー」の続きです。 パラリズィー2 「ブン太に手え出すのやめてくれんか」 耳が痛いくらいのミュージックが流れてる。ただ、そんなものはすぐに慣れる。 いつものゲーセンでいつもの場所で、いつも通り煙草を吸っていた。いつも通り仲間と喋って、ブン太から来たメールを返信してた。 いつもと違ったのは、俺に来訪者があったこと。 俺はこいつを知ってる。ブン太といっしょの部活で、髪が銀色でやたら目立つ。 「それだけ言いにここ、来たわけ?」 「そうじゃ」 地べたに座る俺に対して、仁王も膝を曲げた。煙草の煙がもろに仁王にあたるけど、気にする様子もなく、「ブン太の制服にこの匂いがついとったのう」と言った。 「何でおまえにそんなこと言われないといけないの」 こいつは明らかに部外者だ。俺が誰に手を出そうが、ブン太がどんだけ俺に依存しようが、コイツが知ったことじゃない。 ブン太は、俺に夢中。俺が言うのもなんだけど、そう思う。ブン太は多分、今頃寝ようとして、歯磨きでもしてるはずだ。それでも、今電話して「来て」と言うだけで来ると思う。 そういうことは、今まで何回もあった。その度ブン太は走って俺のところに来る。 「もお見てられん。ブン太がどんどんボロボロになってくのは」 む、とした。俺といるとブン太がボロボロになってくって、ちょっと失礼なんじゃね? 別に酷い扱いはしてない。 ただアイツが勝手に、俺のために私生活を投げ出してるだけだ。 「お前、ブン太に惚れてんの?」 からかうように言ってやった。詐欺師が、どんな反応をするか興味があった。 だけど意外と冷静に、「そおいう訳じゃなか」と応えた。 「うそつけ、じゃあお前が止める理由ってなんだよ」 仁王は押し黙って、無口になった。 ( ほら、見ろ ) やっぱブン太が好きなんじゃん? 「言わんと納得しんか」 「当たり前。言っとくけど、お・れ・の。ブン太だぞ」 からかうように言うと、仁王は顔をしかめた。 俺のブン太、確かにそう思うけど、別にブン太が好きっていうわけじゃない。 ただあいつが俺に依存してくるから、付き合ってやってるだけ。っつうか、俺は来る者拒まず、去る者追わずだから。 それから少し沈黙が続いて、口を開いた。 「が好きだから、」 「が好きじゃけん、ブン太に腹立つ。ボロボロになってくのが見てられんのじゃのおて、どんどんに依存してくブン太がむかつくんじゃ」 一気に言い終わった仁王は、ため息を吐いた。 「……お前も、依存すりゃいいだけの話だろ。俺に、さ」 そしたら俺もお前に依存してやるよ、と小さく言えば、仁王の目が細くなった。 2006.3.12 |