#コナンプラスで書いたりツイッターで上げたSSまとめ。ジャンルはDC。
ジン/火薬に混ぜたちいさな嘘/2017.08.28
どういう風の吹きまわしなのか、彼が花火大会に連れてってくれた。黒い装いは目立つと言ったら珍しく浴衣を着て。一緒に並んで夜空に散る大輪の花を眺めていると、ふいに額に柔らかな感触。「ジン、さん。なんで…?」尋ねても「知らねえ」と逸らされてしまう。この熱い手の理由をちゃんと訊かせてよ。
降谷零/盲目な蝉の声/2017.08.29
カナカナカナ、ひぐらしの鳴く声が窓の外から聞こえる。「もうじき夏も終わりだね」どこか遠い目をした彼女は小さく呟いた。目を伏せる姿が淋しげで、切なげで、そっと近づいて片手で彼女の目を覆い、その上から触れるだけの口づけをする。「零?何かしてるの?」その問いかけには別に何も、と答えた。
降谷零/フラッシュバックする魂/2017.08.29
気づけば一面のひまわり畑の中にいた。「零!こっちこっち!」声をする方を向くと彼女がこちらに微笑みかけていた。首から下げたカメラを掲げるから背筋を伸ばすとシャッター音、同時に視界がホワイトアウト。自分が今ベッドの上にいて、彼女と会えないことを思い出し頰を涙が伝った。
赤井秀一/僕らはちっぽけな子供/2017.08.30
息が詰まる。目が覚める。寝汗がぐっしょり。傍らの温もりを見つける。背中に額を押しつける。服の皺を深くする。涙が溢れる。身動ぎの音が聞こえた。「…どうした?」紡ぐ声は低いのにやさしい。「…嫌な夢を、見た気がしたの」彼は私の頭を撫でながらショッポに火をつけ、大丈夫だと指を絡めた。
降谷零/愛情と幸せの受け入れ/2017.08.30
「あ…ごめんね。零が手作りだめなの知ってるのに」彼女が目を伏せて笑みを浮かべている。無理をしているのはすぐに分かった。「…食べるよ」彼女の目が見開く。一口含んで、止まって、それから二口三口と進めていく。「…うまい」言うのと同時に涙まで溢れてくる。「うん、良かった」彼女がわらった。
安室透/君は優しい僕が好きだろうけど/2017.08.31
店内が心地よい温度だったのか、あるいは疲れ切っていたのか、はたまたその両方か。うつらうつらと舟を漕いで彼女は浅い眠りについていた。起こそうと肩に触れる直前「あ、むろ、さん…」呼ばれて心臓が裏返る。ごめん、今は優しい方の僕じゃないんだ。心で呟いて彼女の瞼にひとつ、キスを落とした。
赤井秀一/あと五センチがこんなに遠い/2017.09.02
打ち上げ花火が次々と上がり煙が立ち込めて小休止。「赤井さん」彼の名前を呼ぶと、こちらを見て視線を絡ませてきた。言い出そうか迷って口を開いた瞬間、大輪の花がひとつ咲いた。聞こえなかったのか、彼は首を傾げる。「何でもないよ」笑ってみせる。手繋いで、は結局言えなくて手持ち無沙汰のまま。
赤井秀一/言葉より行動の応酬を/2017.09.03
紫煙が寝室に立ち込めた。「煙草、やめて」努めて不機嫌を醸し出すと上半身を曝した彼は「すまない」と大して謝る気のない返事をした。「エアコンが臭くなる」顔を顰めると「掃除の時は呼んでくれ」と片手を挙げる。「それより、君を抱きたい」腰に逞しい腕が回され、私は諦めて「秀一」と彼を呼んだ。
萩原研二/独占欲とかそういうやつ/2017.09.03
「日焼け止め塗るの忘れちゃって」彼女は笑って首筋を白い指でなぞる。ああ、眩しいな。そう思ったら自然と目を細めていた。誰と出掛けたんだとか俺といるより楽しかったとかそんなくだらないことを訊いてしまいそうで、そっと手を拐う。「…萩原さん?」戸惑う彼女は、けれど今は俺だけを見ている。
バーボン/茹だる頭が膨張しそう/2017.09.04
「暑いですね」沈黙の中に言葉を投げると「そうですね」と軽快な口調で返された。「その割には涼しげですが」額を拭うと彼女は得意げに笑って「だって私にはこれがありますから」と頭に乗っかった麦わら帽子を見せつけてきた。面白くなくて抱き寄せれば「あつい、ばかバーボン」うるさい口にはキスを。
沖矢昴/魅惑的な肌色と赤色/2017.09.04
見たいと言うから、恥ずかしいけど室内で水着姿になったのだ。なのに彼は何かコメントすることなく、「ホォー…」と顎の辺りを摩るだけ。「昴さん、どこかおかしいですか…?」思い切って尋ねると「ああ、貴女があまりにも可愛らしいので言葉が出なかったんです」ふっと笑い、首筋に赤い花を咲かせた。
降谷零/この茹だる暑さが恋しくなる/2017.09.04
「あっちーな」そんな小言を漏らして彼は長い袖を肘の位置までまくった。褐色が目に毒だとぼんやり思った。「降谷さん」「ん?」名前を呼ぶとこちらを向いてくれる。「来年の夏も、一緒にいてくださいね」縋るように唇を噛みしめると「ああ、もちろん」と幼い顔で破顔した。その顔が好きだと思った。
安室透/知られても構わないけど/2017.09.04
夜空を見上げたら、一筋の光が横切った。「わ、安室さん。流れ星ですよ!」僕の肩を叩いてほらと空を指差す彼女がどうにも愛おしくて、後ろから覆うように耳を塞いで「好きですよ、ずっと」と小さく零した。手を離すと彼女は俯いたまま耳を真っ赤にした。あーあ、失敗しちゃったなあ。頭を掻いた。
スコッチ/スッキリと爽やかな匂いだった/2017.09.04
意外だった。けれど壁にもたれながら星を仰いで火をつける姿は妙に様になっていた。「スコッチ」声を掛けると彼は明るい顔で手を挙げた。「吸うんだ」首を傾げた後に煙草の事だと気づいたのか「…ああ。たまにな」と曖昧に笑う。「匂い、嫌いじゃない」告げると嬉しそうに喉を鳴らした。
赤井秀一/連れ添う二匹/2017.09.05
水の入った袋の中を赤い金魚が二匹、じゃれるように泳いでいた。彼女はそれを目の高さまで掲げてじっと動きを追っている。「赤井さん。仲良さげですね」金魚から目を離してにっこり笑いかける彼女が可愛くて仕方なくて、俺がまだ甘酸っぱい気持ちを抱いていることに驚いて、うなじに熱い唇を落とした。
降谷零/残響する言霊/2017.09.05
「ずっと夏ならいいのにね」入道雲のなり損ないを見つめながら、彼女は目を細めた。どこか哀愁を帯びた眼差しがどうしようもなく胸を締め付けて切なくて、思わず手を握った。ひどく冷たい手だ。「…零?」その癖瞳は熱を帯びて射止められそうで「まだ夏だろ」と嘘で誤魔化すしか留める術がなかった。
萩原研二/君が淋しそうだったから/2017.09.05
後どのくらいこうしていられるだろう。口寂しそうに唇を尖らす彼を見ておもう。夏の夕暮れは感傷に浸ってしまう。「どうした?」問いかけ流れる長い前髪に「ううん」と首を振る。そしたら彼は神妙な顔つきで私の肩を掴みそっと塞ぐように瞼に口付けた。「萩原さ」名前を呼ぶ前に今度は唇にキスされた。
スコッチ/これでもまだ受け入れる?/2017.09.10
カチッ、カチッ。彼が幾度とライターの火をつけては消している。「気づいたんだ。俺には地道に関係を築き上げていくのが楽しい時と、それを全て壊して傷つけたくなる時があるんだって」いまはどっちだとおもう?柔和に笑う顔はいつも通りで、それが異質だった。「どちらでも構わないよ」虚勢を張る。「君はお人好しが過ぎるな」彼がわらう。「得体の知れない男の妄言なんて信じるべきじゃない」暗い瞳に呑まれないように唾を飲み込んで「スコッチになら、どっちだっていいと思ったから」告げると彼はほう、と顎髭をさすってから私に近づき、手首を掴んでやわい首筋に歯を立てて何度も甘噛みした。
(お題:苦しいけど、貴方のためだから)
降谷零/素直に手放してくれない/2017.09.12
「それで、零は満足?」泣きそうな顔で首を傾げる彼女に何も返せない。「そうやって自分の心に蓋をして、自ら手離して。それでいいの?」ネクタイに手を添えて引っ張ると距離が近づいた。彼女は、分かりやすく怒っていた。「私の為なら、守り抜くって約束してよ、ねえ」ああ、強い彼女にお手上げだ。
赤井秀一/嬉しいはあまい/2017.08.27
彼女と過ごした夜は瞬く間に明け、カーテン越しに覗く薄明かりに目を覚ます。「…あかい、さん」拙い発声の寝言と同時に身動ぎした彼女の目尻から雫が伝っていく。舌で塞き止めると甘い味がして、彼女の見る夢が悪夢でないことに安堵した。「今日は早く帰る」そう誓いを立てて、ベッドを抜け出した。