頬を伝う汗、弾む息。 あぁ、勝ってしまった。
球技大会
壁に貼ってあるトーナメント表に眼線をうつす。 あ。 次、決勝じゃん。 やってらんないっての。 いくら球技大会だからって、こんなクソ暑い中体育館でバスケなんて。 7月とは言え、連日真夏日で気温は今日も30度以上。 風通しの悪い体育館は、窓を開けても無風状態。 殺す気か? 何もしなくても汗が出るのに、こんな中で走り回れと? いくら優勝クラスに金一封が出るからって、あたしはそこまで燃えられません。 まぁ、そんなあたしの意思とは裏腹に、あたしのチームは決勝まで進んでしまったけど。 壁にかかる時計を見上げれば、時刻は午後1時を指していた。 次の試合は、確か2時から。 ん? 2時って1番暑い時間じゃん。あーあ・・・。 生徒が密集して飽和状態の体育館を抜け出して、自販機に向かう。 誰も居ない廊下、きっとみんなクラスの応援に行ってるんだろう。 そんなことを考えながら自販機の前まで行くと、そこに居たのは同じクラスの村上だった。 あれ、ひとりだなんて珍しい。 「お、。お疲れさん。」 「村上も、お疲れ様。」 「おう、女子バスケ試合どうやった?」 「勝ったよ。次が決勝。」 「ほんま!? すごいやん!」 あたしは自販機にお金を入れて、桃ジュースのボタンを押す。 「村上は?」 「ん?」 「競技、何出てるの?」 出てきた紙パックにストローを刺して、首にタオルを掛けた村上に尋ねる。 あんた、オッサンみたいだよその格好! 「サッカーとドッジボールとバトミントン。」 「え、3つも出てんの!? 信じらんない。」 ドッジボールはもう負けてしもたけどな。 とか言いながら、村上は手に持っていたポカリに口を付ける。 あたしは何故か、ポカリを飲む度に動く村上の喉仏がから眼が離せなかった。 どうした、自分。 「でも意外やったで。」 「なに?」 「がバスケやなんてな。」 「バスケくらい出来るわ! バカにすんなコラ!」 村上を軽く睨むと「桃ジュース飲みながら凄んでも迫力ないで。」と、軽くあしらわれた。 このオッサン予備軍が! そもそもバスケ出来るのが意外って、アンタの眼にあたしは、どんだけか弱い女の子として映ってるのよ。 「ま、俺ちゃんと応援しに行くからな。頑張りや!」 あたしはいつもの調子で「村上もな。」って返事をしようと思ったのに。 村上が笑顔であたしの頭を撫でたせいで、口元まで出ていたその言葉を完全に飲み込んでしまった。 ・・・アレ? 何、この感じ。 「じゃ、俺先行くわ。また後でな!」 そう言い残して、背を向けて歩いていく村上を見送って、あたしはようやく壊れそうな心臓に気付く。 気付いた時にはもう遅い。 060813 TOP