今日も頑張るねぇ。

破片

あたしの眼に映るのは、すごい勢いで校門を駆け抜ける1台の自転車。 それに跨るのは、隣のクラスの安田章大くん。 1週間前、席替えで運良く窓際の後ろから2番目という席をゲットした。 隣が大倉ってのが少し不満だけど、まあ話し相手にはなるからよしとしよう。 そして3日前、朝登校して、あたしは席に着いて窓の外を見下ろしながら、朝会が始まるのを待っていた。 そんなあたしの眼に飛び込んできたのが、今日と同じように全速力で走る自転車。 乗っているのが安田くんだっていうのは、すぐに分かった。 安田くんのこと、少し気になってたから。 それからだ。 あたしが無意識に窓の外を眺めるようになったのは。 あたしがここから毎日見てるってこと、きっと安田くんは知らない。 ・・・毎日見てるとか、軽くストーカーっぽいけど。 別に本人に迷惑かけてるわけじゃないし。 そんなことを考えながら、人もまばらになった生徒玄関前の広場を再び見下ろす。 そこには自転車を駐輪場に停めた安田くんが、通学鞄をもって走りながら玄関に向かうところだった。 きっともう今日は会えないだろうから、まだ朝だけど、また明日ね。 そう心の中で呟いた瞬間、必死で走っていた安田くんと眼が合った。 え? そのまま安田くんはそこに立ち止まって、あたしを捉えたまま手を振った。 あたしじゃないよ、ね? ここは3階。 きっと、あたしの下の階の人に手を振ってるんだよね。 そうは思ったけど、あたしの体は自然と安田くんに手を振ってしまっていた。 それからすぐ我に返って。なんかすごく、恥ずかしくなった。 また恐る恐る安田くんに視線を戻すと、そこには相変わらずの笑顔の安田くん。 それからもう一度大きく手を振って、安田くんは生徒玄関に吸い込まれていった。 心臓の音が大きい。 あたしが胸に手を当てて深く息を吸い込むと同時に、教室のスピーカーから始業を知らせるチャイムが鳴り響く。 あー・・・。 やっぱりあたし、好きなのかも。 話したこともないけど、好きになっていいのかな。 明日も、会えるかな。 名前変換なし。笑 恐らく続きます。 060430

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